海洋プラごみの流出と環流

アメリカの研究( Jambeck , 2015 )では、2010 年だけでも世界でおよそ 800 万トンのプラスチックが海洋に流出したのではないかと言われ、日本からは 2 万トンから 6 万トンが流出したと推計しています。

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また、海に流出したごみは地球の自転と海流によって、ごみが集中する環流へと流れていきます。世界の海にはそうした海域が5ヶ所あって、オランダのNPO法人オーシャンクリーンアップがハワイから米国本土に向かって「太平洋ごみベルト」を大規模調査した結果によれば、およそ7万9,000トンのプラごみが太平洋の海面から2メートルの域に漂流していると推測されています。

潮流は「Gyre(ジャイア)」と呼ばれ、次第に巨大な環流の内側へと向かい、最終的には数百メートルの深層まで沈んでいきます。でも、プラごみの多くは海水よりも比重が軽いので、一部は表面に留まり(van Sebille et al. 2015)ますが、いずれ深海に堆積していきます。

最大の環流である「北太平洋ジャイア」に合流する、世界最大の海流「黒潮」は、実にアマゾン川240本分の水量があります。黒潮はハワイ沖から東南アジア方面に吹き付ける強い風と地球の自転で源流が生まれ、フィリピン北東の陸地に沿って北上、北から下りてきた親潮と日本の宮城県沖でぶつかり東へと流れていきます。
東へ向かった潮流は、黒潮統流と北太平洋海流に分かれ、黒潮統流は赤道方面に下って再びアジアに還ってきます。分岐した北太平洋海流は、メキシコ沖からの海流も合わさり、カリフォルニアの沖合にある世界最大のごみ集積場所「グレートパシフィックごみパッチ」に流れ込みます。

出典:GIRD Arendal/Flickr (CC BY-NC-SA 2.0)

※世界の大洋を循環する5つの環流(ジャイア)とプラスチック濃度、色が濃いほどマイクロプラスチックの濃度が高い。5つの環流には、北太平洋環流(North Pacific gyre)、南太平洋環流(South Pacific gyre)、北大西洋環流(North Atlantic gyre)、南大西洋環流(South Atlantic gyre)、インド洋環流(Indian Ocean gyre)がある。

 

プラごみは、深海に潜ってしまってからでは難しさが格段に違ってしまいます。深海に潜れる船も限られてしまいますから、表層にあるうちに回収できるよう早く体制を整えていきたいものです。

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