株式会社TBM(東京都千代田区、山﨑敦義CEO)は、米コロンビア大学のCCUS(CO₂の回収・貯蔵・利用)開発チームからスピンアウトしたメンバーが設立した英国グリーンオレ社から合成技術の供与を受けて、製鉄所の副産物である鉄鋼スラグから抽出したカルシウムと、排ガスから回収したCO₂を合成して炭酸カルシウムをつくり、それを主原料としたプラスチック代替新素材『ライメックス』を開発した。
また、グリーンオレ社の技術は鉄鋼スラグの他に建設工事などで廃棄物となるコンクリートスラッジからもカルシウムの抽出も可能という。
『ライメックス』は石油由来プラスチックと同様に自由な形状に加工できる特性があり、プラスチックのほかに紙の代替としても利用が可能だ。今はまだ量産化前とはいえ、すでに1万件の利用実績があるという。
また、試作品を2024年1月中旬に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で披露したところCO₂を資源化する「カーボンリサイクル技術」として注目を浴び、会期中に海外の政府関係者や企業から引き合いがあったという。
日本政府が2023年に策定した「カーボンリサイクルロードマップ」では2030年ごろからCO₂を原料にした化学品の普及も見込んでいるが、TBM社のライメックスが量産化に成功すれば政府の目論見を具現化する商品となる。