プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第2回政府間交渉委員会が開催

5月29日(月曜日)から6月2日(金曜日)まで、フランスのパリにおいて、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた第2回政府間交渉委員会が開催されたところ、会合の概要等は以下のとおりです。
この会合には、約170カ国の国連加盟国、関係国際機関、NGO等約1700名が参加し、日本からは、外務省、経済産業省及び環境省から構成される政府代表団が出席しました。

(1)会合の冒頭で、小野洋環境省地球環境審議官が、アジア太平洋地域の理事(副議長)として選任され、今次会合においても定期的に地域会合を主催するなど、議論を主導しました。

(2)今回の交渉では、条約に盛り込まれるべき要素案に関する事務局ペーパーを基に、①目的及び中心的義務、②条約義務の実施手段について、2つの作業グループに分かれて議論が行われました。

(3)日本からは、①条約の目的について、先のG7首脳宣言やG7気候・エネルギー・環境大臣コミュニケを基に、2040年までに追加的な汚染をゼロに削減する野心をもってプラスチック汚染を終わらせることを目標とすべきである旨提案したほか、②条約の横断的義務として、(i)国内でのプラスチックの循環利用の促進や環境への排出を抑制していくシステムの社会全体での構築、(ii)プラスチックのライフサイクル全体の各段階における汚染の抑制に向けた必要な措置の実施、(iii)生産段階や廃棄物管理の段階の取組のみならず、流通・販売・消費段階での意識啓発やプラスチックの回収、再利用やリサイクルの促進の重要性等を主張しました。

(4)各国からは、条約の目的として、プラスチックの環境への流出の防止、人間の健康への悪影響の防止等を掲げ、目標年限を設定することに対して支持を表明する意見もありましたが、引き続き継続して議論を行うことになりました。
条約の義務として、多くの国が科学的知見に基づく議論の重要性を認識しつつ、一次プラスチック・ポリマーの生産制限や、問題のある避けうるプラスチック製品及び懸念のある化学物質やポリマーの使用の禁止、段階的禁止又は削減を求める意見がある一方で、日本を含む各国から再利用及びリサイクルの促進による対策の重要性について意見が出されました。また、多くの国から、各国の状況に応じた国別行動計画に基づく措置の必要性について意見が出される一方で、国別行動計画は補完的な役割であるとの意見も出されました。
さらに、条約義務の実施手段(能力構築、資金・技術支援、技術移転等)についても議論がなされ、多くの国が専用基金の設置について主張する一方で、日本を含む複数の国から、既存基金を最大限に活用し、最も支援を必要とする国への支援を行うべきとの意見が出されました。

(5)今回の議論の結果、議長に対して第3回INCまでに条文のゼロ・ドラフトを作成するマンデートが与えられるとともに、会期間中の作業の特定や同INC前に1日間の準備会合を開催すること等が決定されました。

(6)このほか、委員会期間中、ステークホルダーが参加するサイドイベントが開催され、「循環経済及びプラスチックの循環性の創造的拡大の促進」がテーマのイベントではCLOMA(Japan Clean Ocean Material Alliance)が、「地方、国家及び地域における変容の実現」がテーマのイベントでは北九州市が、それぞれ日本の取組等を紹介しました。

https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230605005/20230605005.html

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